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Stormfågel / Alfred Lorinius

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坂田尚子トリオをはじめ、複数のグループで活躍するベーシストのAlfred Lorinius(1986年10月20日生まれ)が、2016年5月6日、『Stormfågel』(Havtorn Records HR032)に発表した。Loriniusはイエテボリ在住の29歳。自ら作編曲も手掛ける。これは同名グループのデビュー作。Stormfågelとはギンフルマカモメ。南極周辺に生息するカモメの一種である。カモメの一生をテーマにしたわけではないが、どの曲にもロックやポップの要素も取り入れられていて、非常に凝っている。
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左からJoel Fabiansson(g), Otis Sandsjö(ts), Alfred Lorinius(b) Naoko Sakata(p) Marie Nilsson(vo) Erik Fastén(ds)

#1:9分30秒を超える長尺演奏。スウェーデン語による歌が入るのは最初の3分、残りはインスト。後半はvoiceとtsのユニゾン(すべて譜面)、tsの咆哮、歪んだgの叫びが続き、かなり過激な展開で疾走する。
#2:コンテンポラリーな変拍子だ。前半はスウェーデン語の歌。後半はgのソロとスキャットがフィーチャーされている。
#3:美しいバラードである。bのボディを叩く音、tsの息漏れ、dsのシンバルの金切り声などの効果音でスタート。2分10秒過ぎからp,tsのソロがフィーチャー。4分過ぎから再び歌、ベースの弓。ジャケットのイメージと重なる海洋の描写力が素晴らしい。
#4:10分半を超える長尺演奏である。dsとbのシンプルなパターンで始まるこの曲は、詞は英語。gがメロディをサポートし、tsのフラジオから盛り上がる。後半は同じパターンをg,bが刻み、透明感のあるpが絡む。このソロも次第に過激さを増し、やがてgとtsが現れ、最後はvoも入って盛り上がり、最後はF.O.。
#5:コンテンポラリーなgソロのパターンを中心としたバラード。後半はpとbのユニゾンでシンプルなメロディを刻む。2分足らずの小品。
#6:曲間もなくts,g,dsが加わり、小気味よい8ビートのナンバーに。tsのサポートを受けたスウェーデン語の歌でスタート。2分過ぎからtsソロがフィーチャーされる。4分50秒からふたたび歌に。
#7:ここからの2曲は、スポーツマンの苦悩と人間の死生観を歌っているようだ。
#8:そのままパート2に入り、voのpのユニゾンが聴かれる。1分40秒過ぎから3分過ぎまで坂田のpが激しく疾走、dsも応酬。本作のハイライトである。この後メッセージ色の強い英語による歌が聴かれる。
#9:ラストも12分を超える長尺演奏。激しいギターと疾走するドラムンベース風のリズムに、スウェーデン語で甲高いvoが加わる。ts,pも入り譜面に書かれたメロディを支えるが、2分40秒過ぎからフリーの展開。5分30秒過ぎからp,g、tsが渾然一体となった演奏が聴かれる。11分20秒過ぎからvoとdsが加わり、激しいエンディングへ。

by makotogotoh | 2016-05-07 04:11 | Swedish Jazz
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