オープニングの「四月の想い出」はその新作から。ミディアム・テンポで軽やかな幕開け。ラテン・パートは少なく、スイング主体の演奏。ベースやドラムにソロは回さず、テーマからソロ、そしてテーマとピアノのみで一気に処理。レコーディングと違うのは、この日のエンディングでは「The King and I」をさりげなく引用する。 2曲目は急速調。ここからエンジン全開。スピード感のあるピアノ・ソロに続いてドラム・ソロもフィーチャーして1コーラス。 3曲目はチェンジ・オブ・ペースのバラード。一音一音に気持ちをこめて弾く姿が印象的。後半はサビから転調してラスト・テーマ。 4曲目もバラード。アレック・ワイルダーのメドレーである。前半はソロ、リズムが入って「While We're Young」。ラテン・リズムの6/8拍子で、リズムが賑やかなパートもあるが、ソロはピアノのみ。 5曲目もアレック・ワイルダーのバラードで、ミルドレッド・ベイリーやフランク・ウェスの名演で知られるラヴ・ソング。あまり知られていないヴァースをルバート・ソロで、コーラスに入ってリズムが加わりミディアム・テンポ。ベースのソロが1コーラス。その後ピアノがサビまで短いソロ。ラスト・テーマはA8のみ。 6曲目はルバートのソロから。低音域を強調したブギウギ・スタイルである。そして、そのままJohn Carisiの「Israel」に突入。ややこしく編曲したテーマの後、ブルース形式のピアノ・ソロへ。8コーラスを過ぎた頃から、ベースがチラチラと、ピアノの様子をうかがい始める。リーダーのアイ・コンタクトを待っているのだ。11コーラスで、リフ4小節をはさんでマイナーからメジャーに転調。ベース・ソロがきっちり10コーラス。その後ピアノ1コーラスをはさんで、ドラムとのバース・チェンジと大いに盛り上がる。 7曲目はバラード。ルバート・ソロでスタート。イン・テンポでリズムが入って、ソロはサビまで。そのままラスト・テーマは再びソロ。短い演奏。 8曲目はシャーラップの元ボス、ジェリー・マリガンのナンバーから。アップ・テンポでドラムのブラシがよく回る。ピアノ・ソロ6コーラスの後、リフ16+16小節をはさんでラスト・テーマで終演。 初日からご機嫌のようだ。ここで客席に向かって「What Do You Want to Hear?」と問いかけると、タイミングよく「All the Things You Are!」の声が。間をはさまず「OK」といってピアノに向かうと、そのジェローム・カーンの名曲を、短目にていねいに演奏。リクエストをくれた客席3列目の若者に、手を差し伸べてさわやかにステージを去るシャーラップ。客席に心地よい充実感と温かい余韻を残して無事終了。 1st set: 1.I'll Remember April(Don Raye-Gene DePaul) 2.All Through the Night(Cole Porter) 3.The Blue Room(Rodgers-Hart) 4.I'll Be Around-While We're Young(Alec Wilder,Marty Palitz-Alfred Opfer) 5.It's Peaceful In the Country(Alec Wilder) 6.Israel(John Carisi) 7.Lush Life(Billy Strayhorn) 8.Rocker(Mulligan) Encore: 9.All the Things You Are(Jerome Kern)
by makotogotoh
| 2016-08-20 04:11
| Bill Charlap
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