インターネットで調べものをするには、たしかに便利な一面もありますが、こちらが欲しい情報が得られなかったり、間違っていたり、と、イライラすることも少なくないですよね。
1999年に出た4枚組です。HMVのサイトをみると、レビューとして 《パブロ・レコードに録音されたエラのコンサート録音を集大成したCD4枚67曲にわたるアルバム》とあります。 HMVの人は、この文章で何を伝えたいのでしょう?私には《タイトルとデータをみれば、誰でも分かる最低限の情報を、日本語に置き換えただけ》としか思えないのです。 人気ブログランキングへ 文中の「集大成」という表現は、《パブロに残されたエラがコンサートで残した音源をすべて集めている》という意味なのでしょうか。この4枚組を買えば、複数の単体アルバムで発売された他のライヴ・アルバムは不要なのでしょうか?(だとしたら、すごくお徳ですよね。でも本当?) いろいろ思いはめぐるのですが、こちらが知りたい情報についての説明は、どこにもありません。さらに収録されている67曲が、それぞれいつ、どこで録音されたものなのか、それぞれのメンバーはどうなのでしょうか、詳しいことはなにひとつ、さっぱりわからないのです。 インターネットは便利だと思いますが、本家のサイトをみても、曲目しか分かりませんでした。うーん。困った。 さらにややこしいことに、なんと2003年には『The Best Of The Concert Years』というアルバムが出ていたのです。 《「Pablo Records」時代のノーマン・グランツ主催の多くのライヴパフォーマンスの中からトリオ、カルテットといった小編成のバンドをバックに歌の実力を全面に押し出して歌うエラが聞けるベストアルバム。声の切れのよさに改めて感動させてくれる。》 こちらの方がさっきよりも字数は多いです。で、 この文章で何がわかりますか?「歌の実力を全面に押し出して歌うエラが聞けるアルバム」や、「エラの声の切れのよさに感動させてくれるアルバム」は、これ以外にもたくさんあるでしょうに……。 他のアルバムと区別する、このベスト盤、最大の特徴は何なのか、それがさっぱりわかりません。小編成のバンドというのがポイントですが、よく見ると、ジャケットに小さくTRIOS&QUARTETSFROM THE GREAT JAZZ AT THE PHILHAOMONIC CONCERTS」と書いてあるじゃないですか。 要するに、こちらも《聴かなくても書ける》《調べなくても書ける》程度の文章なのです。 私にとって、判断材料となる有益な情報は何ひとつありませんでした。 この点、マイケル・カスクーナが主宰するモザイクレコードのサイトは徹底しています。Track Listing, Personnel & Recording Dates というところをクリックすれば、収録曲はもちろん、どれが未発表で、どれが初登場まで、はっきりわかります。さすがジャズ界の発掘王、これぞプロの仕事です。 さてこのアルバム、タイトルで判断すれば、上記『The Concert Years』のベストですから、4枚組からの抜粋かな?と普通だったら思いますよね。でも曲目をよくみると、「Little White Lies」、「It's Only A Paper Moon」、「Day Dream」、「If I Could Be With You」、「Between the Devil and the Deep Blue Sea」の5曲が、前者の4枚組に含まれておらず、後者の1枚ものにだけ含まれているのです。 困ったことに、このアルバム『Best of the Concert Years』は、先の4枚組『The Concert Years』のベストではないのです。同じ会社が出ているというのに……。 で、私はここで、さらなる疑問を持ちました。この5曲は、ひょっとしてこの盤でしか聴けない、世界初登場の未発表音源なのかも?またこういう場合、どこの誰に聞けば、ちゃんと教えてくれるのでしょう?まさに「教えて!エライ人」状態です。 インターネットは便利だといいますが、本家のサイトをみても、例によって曲目しか分かりませんでした(リリース年が1991年とありますが、明らかに2003年の間違い)。 このように、インターネットは便利だといいますがが(もうしつこいね) 、ネットだけでは確かなことは何も分からないことも、実は多いのす。 結局、「エライ」人がみつけられなかった私は、両方とも購入してしまいました。 正月早々から、えらい出費です。そうするしか他の手段がなかったからです。 早速商品が届きました。 ようやく分かったことは、以下の2点です。 ・この4枚組を買っても、パブロにおけるエラのライヴ音源をカバーできない。 ・結局、どちらのディスクにも、これでしか聴くことのできない未発表音源は、1曲もない。 つまりどちらも既発音源の寄せ集めでした。 えらい散財でした。 さらに2003年の1枚ものにはプロデューサーのクレジットすらありません。 おい、責任者、出て来い! それでも現物を手にしたおかげで、いろいろわかりました(当たり前か)。 ・1枚ものに入っていた上記の5曲はこのアルバムからでした。 こういうベスト盤を制作・販売するレコード会社は(販売するお店もそうですが)、もっと消費者の視点で、正しく不可欠な情報を提供してほしいと思うのです。自社で手が回らないのなら、たとえば売れない音楽評論家に(薄謝や寸志を払ってでも)依頼するなどして、徹底すべきではないでしょうか。そうしないと、私のような被害者が後を絶ちません。被害者は売れない評論家、一人でたくさんです。アマゾンのように、ユーザー任せにしているサイトもありますが、データが不備という点では、HMVもアマゾンも同じです。 私が危惧するのは、今後、音楽の供給がCDからダウンロードに、大きなトレンドとして移行したとしても、CDがまだ主流の現状ですら、十分な情報が提供されていないのですから、将来的にはかなり厳しいものを感じます。配信会社や販売会社は、専門家に対価を払ってでも、正しい情報の公開に労力を注ぐべきではないでしょうか。 PS:これらのディスクは、ただのダブりとなってしまいました。つまり私には、買わなくてよい作品だったのです。 明日、売り飛ばしてきます。
by makotogotoh
| 2008-01-03 09:26
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