2007年 12月 08日 ( 1 )

アトリエ澤野コンサート2007@なんばHATCH

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なんばHATCHでの『アトリエ澤野コンサート2007』に行く。今年の出演は北川潔トリオと、ウラジミール・シャフラノフ・トリオ。
 いつも謙虚な澤野由明社長の挨拶に始まり、北川の新トリオが先発。さすがの硬派らしく全曲オリジナル。MCなし曲間なしの約80分。ノンストップのステージだ。新加入のダニー・グリセットは比較的細身の若者で、ハンコックやマッコイのようなモーダルなプレイを得意としている。横顔や身のこなし、風貌は若い日のサミー・デイヴィス・ジュニアを思わせる。
 人気ドラマーのブライアン・ブレイドは《ソウルをもった精密機械》。ダニーより小柄だが、存在感はある。きびきびとした所作とスケールの大きい、瞬発力のあるドラミングで、リーダー北川の演奏をしっかりと支える。ブライアンの動きがとにかく美しい、まさにスターなのだ。ニューヨークの香りを感じさせるアレンジ、日本人(関西人?)ならではのソウルやブルースを感じさせるメロディ、そして3者によるソロの見事な融合。もう《小曽根真トリオのベーシスト》とか《裏ケニー・バロン・トリオ》と言わせない。リーダー北川のこれまでのキャリアと大きな存在感が光った。
 後半は澤野工房の看板、VOVAことシャフラノフのトリオ。こちらもメンバーが入れ替わり、ドラマーにスウェーデン人のベント・スタークが参加。この人は以前、ボーヒュースレン・ビッグ・バンドのメンバーで来日している。その時は、やくざなドラマーだなと思ったが、ウィリアム・ルスカのような風貌で、柔道家かプロレスラー。こんな巨漢とは知らなかった。この日は堅実なドラマーとしてシャフラノフを支える。パーカーのブルース「Relaxin' at Camarillo」では見事なビバップ・ドラミングを聴かせた。
 おなじみの名曲を演奏しても、つねに新鮮な印象を与えるシャフラノフ。あふれ出るアイディアを表現する演奏技術と、聴き手にスリルを与える構成のうまさ。後半クリスマス・ソングとして「Ave Maria」を演奏。クラシックの格調高いメロディにアドリブを加えるなど、ジャズ・ピアニストとしての矜持を示した。
 前半は熱心なジャズ・ファンでも結構聴き応えのあるメニュー、後半は万人が楽しめる聴いて楽しいジャズと、実に対照的なプログラムだ。ダニー・クリセットとケニー・バロン、ベント・スタークとユキス・ウォティラ、どちらの人気と知名度が高いか、いちファンの立場でみれば、その答えは明らかだ。だが演奏家はメンバーの交代を繰り返しながら成長していく。グリセットとスタークが、次代のジャズを担う旗手になる可能性もある。
 会場で配布された小冊子に、澤野氏の「ちょっといい」話が載っている。MoleJazzのEd Dippleががんで他界した時に、彼のコレクションが散在するのがいやで引き取ったという。今のジャズを表現するアーティストの新録も、過去のレア盤の復刻も続けていく。ジャズの伝統を守りたいが、過去の遺産にはしたくない、という澤野さんの意思が伝わってきた。

曲目は以下の通り。
Kiyoshi Kitagawa 北川 潔 (bass)
Danny Grissett ダニー・グリセット (piano)
Brian Blade ブライアン・ブレイド (drums)
1.KG(AS71 1曲目)
2.Prayer(AS54 3曲目)
3.Ciao,Ciao(AS71 3曲目)
4.Sagittarius
5.A Place to Remember(AS54 9曲目)
6.Innocent Mistake(AS71 6曲目)
encore:
I'm Still Here(AS71 7曲目)
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Vladimir Shafranov ウラジミール・シャフラノフ (piano)
Pekka Sarmanto ペッカ・サルマント (bass)
Bengt Stark ベント・スターク (drums)
1.You and the Night and the Music
2.I Remember Clifford(Benny Golson)
3.O Que Thinha De Ser(Jobim)
4.My Romance feat.Pekka Sarmanto
5.Lotus Blossom(Billy Strayhorn)
6.Love Walked In(Gershwin)
7.Relaxin' at Camarillo(Parker)
8.Ave Maria
Encore:
St.Thomas(Rollins)
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by makotogotoh | 2007-12-08 00:57