カテゴリ:Swedish Jazz( 23 )

2017.4.14 Tommy Kotter Trio @ Body and Soul

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2週続けてのB&S。イエテボリ在住のベーシスト、森泰人が、自身のスカンジナヴィアン・コネクションを再稼働させた。復活第1弾の第40回を2月に行ったばかりだが、その時は都合が合わず欠席。続く第41回目は2007年以来10年ぶりの来日を果たしたトミー・コッテル(1956~)のトリオ。今回は発売間近となったTender LandImprovisationという新作2枚を携えての日本ツアーである。
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2007年に比べて、コッテルはかなり太ったが、ドラムのスンドビーは相変わらずの精悍さ。派手なアクションと、かつて学んだ演劇の影響か、舞台俳優のような動作、百面相も繰り広げて、会場を沸かせる。客席は青山学院時代からの知人・友人の他、福田重男や木住野佳子といったプロのピアニストも駆けつけた。 曲はすべてコッテルのオリジナル。彼の曲はどれもユニークだ。長いテーマをもつ急速調のボッサ、アグレッシヴなモード・チューン、フリー・ジャズ的な要素も取り入れつつ、美しい牧歌調のフォーク・ソング、バラードも散りばめた多彩なステージ。アンコール・ナンバーのMori Songは、コッテルがベースの森に捧げて書いた曲で歌詞は日本語。コッテル自身が日本語で歌い、聴衆に熱い感動と深い余韻を残して無事終了。
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1st set:
1.Celebrating Spring (Kotter)
2.Folk Song No.3 (Kotter)
3.Cavelight (Kotter)
4.Ljuset fran Krubban (The Light from the Magner) (Kotter)
5.Seascape (Kotter)
6.Tender Land (Kotter)
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2nd set:
7.Kivik Shadows (Kotter)
8.Flame (Kotter)
9.Winterpoem (Kotter)
10.Tears of Joy (Kotter)
11.Blue Tango (Kotter)
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Encore:
12.Mori Song (Kotter)
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by makotogotoh | 2017-04-15 04:11 | Swedish Jazz

森泰人スカンジナビアン・コネクション 第41回ツアーのお知らせ

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by makotogotoh | 2017-04-07 04:11 | Swedish Jazz

2016.9.6. KMO Yuichi Kudo Trio @ Studio 274

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工藤雄一、森泰人、小田島伸樹のKMOを聴くため、三鷹から徒歩15分の個人宅スタジオへ。イエテボリ在住の森は早朝、到着したばかりで、すぐに演奏。この日も湿気の気になる暑さだ。演奏はルグランのバラードからスタート。続いて11年前、長男の誕生を機に書いた工藤のオリジナル。Lars Janssonにも通じる曲想で、森のサポートが躍動感を増す。3曲目は工藤のオリジナル・ワルツ。4曲目は小田島のオリジナルで、これが面白い。コルトレーンのコード進行とフランク・シナトラをひっかけたもので、森も「Frankie and Johnny」を思わせるようにイン2で、指板をタップしなが演奏。最後は急速調のスタンダードで最初のセットを終了。
 休憩時間中、あまりにも暑いので、冷たい飲み物が会場に配られ全員で乾杯。後半のセットはキース・ジャレットの「Country」から。この曲を聴くと、2015年3月、食道がんで他界した井上淑彦(ts)と森のデュオが思い出される。続いて94歳で他界したToots Thielemansの名曲を、ワルツではなくサンバで。Tootsとは欧州ツアーのレギュラーで回っていた森から、知られざるこの曲のエピソードも紹介された。その後は工藤、小田島のオリジナルと続いて無事終了。
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1st set:
1.The Summer Knows(Michel Legrand)
2.Birth(Kudo)
3.Waltz(Kudo)
4.Frankie Meets John(Odajima)
5.All the Things You Are(Jerome Kern)
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2nd set:
6.Country(Keith Jarrett)
7.Bluesette(Toots Thielemans)
8.Borelo(Kudo)
9.M3(Odajima)
10.The Sky(Kudo)
Encore:
11.Untitled Original(Kudo)7拍子
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by makotogotoh | 2016-09-07 04:11 | Swedish Jazz

Stormfågel / Alfred Lorinius

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坂田尚子トリオをはじめ、複数のグループで活躍するベーシストのAlfred Lorinius(1986年10月20日生まれ)が、2016年5月6日、『Stormfågel』(Havtorn Records HR032)に発表した。Loriniusはイエテボリ在住の29歳。自ら作編曲も手掛ける。これは同名グループのデビュー作。Stormfågelとはギンフルマカモメ。南極周辺に生息するカモメの一種である。カモメの一生をテーマにしたわけではないが、どの曲にもロックやポップの要素も取り入れられていて、非常に凝っている。
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左からJoel Fabiansson(g), Otis Sandsjö(ts), Alfred Lorinius(b) Naoko Sakata(p) Marie Nilsson(vo) Erik Fastén(ds)

#1:9分30秒を超える長尺演奏。スウェーデン語による歌が入るのは最初の3分、残りはインスト。後半はvoiceとtsのユニゾン(すべて譜面)、tsの咆哮、歪んだgの叫びが続き、かなり過激な展開で疾走する。
#2:コンテンポラリーな変拍子だ。前半はスウェーデン語の歌。後半はgのソロとスキャットがフィーチャーされている。
#3:美しいバラードである。bのボディを叩く音、tsの息漏れ、dsのシンバルの金切り声などの効果音でスタート。2分10秒過ぎからp,tsのソロがフィーチャー。4分過ぎから再び歌、ベースの弓。ジャケットのイメージと重なる海洋の描写力が素晴らしい。
#4:10分半を超える長尺演奏である。dsとbのシンプルなパターンで始まるこの曲は、詞は英語。gがメロディをサポートし、tsのフラジオから盛り上がる。後半は同じパターンをg,bが刻み、透明感のあるpが絡む。このソロも次第に過激さを増し、やがてgとtsが現れ、最後はvoも入って盛り上がり、最後はF.O.。
#5:コンテンポラリーなgソロのパターンを中心としたバラード。後半はpとbのユニゾンでシンプルなメロディを刻む。2分足らずの小品。
#6:曲間もなくts,g,dsが加わり、小気味よい8ビートのナンバーに。tsのサポートを受けたスウェーデン語の歌でスタート。2分過ぎからtsソロがフィーチャーされる。4分50秒からふたたび歌に。
#7:ここからの2曲は、スポーツマンの苦悩と人間の死生観を歌っているようだ。
#8:そのままパート2に入り、voのpのユニゾンが聴かれる。1分40秒過ぎから3分過ぎまで坂田のpが激しく疾走、dsも応酬。本作のハイライトである。この後メッセージ色の強い英語による歌が聴かれる。
#9:ラストも12分を超える長尺演奏。激しいギターと疾走するドラムンベース風のリズムに、スウェーデン語で甲高いvoが加わる。ts,pも入り譜面に書かれたメロディを支えるが、2分40秒過ぎからフリーの展開。5分30秒過ぎからp,g、tsが渾然一体となった演奏が聴かれる。11分20秒過ぎからvoとdsが加わり、激しいエンディングへ。

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by makotogotoh | 2016-05-07 04:11 | Swedish Jazz

2015.10.6. Lars Jansson Solo @ Swing Hall

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7月にトリオでの新作『Facing the Wall』を出したラーシュ・ヤンソンの、ソロ・コンサートが、武蔵野スイングホールで行われた。武蔵境を訪れるのは久しぶりで、長く続いていた駅の高架工事も終わり、街全体がすっかり洗練されている。
ラーシュの来日は2014年4月以来、1年半振りだ。初来日が1995年だから、今年でちょうど20年。20年前に、イエテボリ在住の日本人ベーシスト、森泰人とのデュオではじめて来日した時、ラーシュ・ヤンソンの名前を知るファンは日本にほとんどいなかった。
 森はこの後、スカンジナヴィアン・コネクションという草の根運動を地道に続け、北欧のジャズ・ミュージシャンを数多く日本に紹介した。ラーシュ・ヤンソンも、そのひとりだ。
 この日の選曲は、新作・近作、そしていくつかの古いオリジナルが中心。スタンダードでは、アルバムでも取り上げたボブ・ハガートの「What's New」、エリントンの「Prelude to A Kiss」も取り上げた。途中のMCでは、日本の禅文化に造詣の深いラーシュらしいエピソードもまじえ、ベテランのファンから、この日はじめてラーシュの音楽に接したファンも楽しめるステージとなった。
1st set:
1.The Organist
2.What's New
3.Nobility and Beauty
4.Hilda
5.Presence
6.There's a Butterfly in My Room
7.Marionette
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2nd set:
8.Prelude to a Kiss
9.Hilda Smiles
10.Improvisation(Searching the Ox)
11.Configuration
12.To a Sweet Dad
13.To the Mothers in Brazil
14.Prelude to a Restless Mind
15.Autumn Blues
Encore:
16.More Human
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by makotogotoh | 2015-10-07 04:11 | Swedish Jazz

Birth~Longing For Sweden~/Yuichi Kudo Trio

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2012年3月9日に発売された工藤雄一トリオの『Birth~Longing For Sweden~』(24 Records)を聴く。アルバムの副題、色鮮やかなイエローとブルーを基調としたレーベル&フライヤーのデザインを見ると、このピアニストが、2011年1月下旬のスウェーデン・イエテボリで、人生に深く刻まれる貴重な体験をしたことがうかがえる。共演は森泰人(b)、ヨーラン・クローン(ds)。BBBのリズム・セクションである。全10曲中7曲が自作だが、1曲目の「Birth」は、Lars Janssonの「Hope」に通じる、懐かしく美しい旋律をもつ名曲。しかもサビは倍サイズ。2コーラスのピアノ・ソロ、1コーラスのベース・ソロも見事だ。2曲目は「ダッタン人の踊り」としてクレジットされているが、「Stranger in Paradise」のタイトルで知られるスタンダード。「Spring」や「Snow Light」と季節感のあるオリジナル曲が続き、終盤の「祈り」は子守唄のようにスタートし、途中からボサになる。ブラームスの「交響曲第3番第3楽章Op.90」と、シューマンの「トロイメライ」はピアノ。ソロ。
ちなみにこの作品、ほとんど宣伝費をかけていない自主制作だが、あの山野楽器銀座本店のランキング(3/12~3/18 本店調べ)ではビージー・アデールに続いて堂々の2位に入っている。
「いい音楽をお客さんに届けたい」という、現場に立つ人の情熱の賜物だろう。
なお以下の予定でCD発売記念コンサートが実施される。
2012年4月8日 横浜赤レンガ倉庫10周年記念ライブ
16時開場 17時30分&19時30分開演 
メンバー:工藤雄一(p) 川本悠自(b) 国場幸孝(ds)

2012年4月22日 新宿ピットイン
開場19時30分 20時開演
メンバー:工藤雄一(p) 川本悠自(b) 橋本学(ds)
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by makotogotoh | 2012-03-24 04:11 | Swedish Jazz

Facing South / Maria Rylander

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今年の6月15日に発売された、マリア・リランデル(vo)のデビュー作『Facing South』を聴く。「クラシック・カーの前にノースリーブ姿の若き女性」というジャケットはパンク・ロック風だが(マリア本人はこの写真よりも、ずっとキュートだ)、これは純然たるコンテンポラリー・ジャズ。2011年9月7日に発売されたスウェーデンのジャズ雑誌のレビューでは最高点(★★★★★)を獲得している。
マリアは1982年8月4日スウェーデンの東海岸にあるオーランド島のボリホルム生まれの29歳。2005年の秋にイェテボリ大学音楽学部に入学、2009年9月から交換留学生としてパリの国立高等音楽学校にも在籍し、2010年5月に卒業した。
この作品が生まれるきっかけは2008年の春。スィーモン・ヴェストマン(1979年5月4日ジャカルタ生まれ)とマリアが、森泰人と出会い、森の自宅で数回のセッションを重ねた。そこから、このユニットが自然発生的に生まれたという。
2010年4月、スィーモンとマリアは森が主催する第38回スカンジナビアン・コネクションの日本ツアーに同行、沖縄在住のセバスティアン・カプテーンを含むカルテットで各地で公演を行った。そして2010年8月、スウェーデンのウデバラにあるスタジオで本作を録音している。
伴奏はスィーモン・ベストマン(p)、森泰人(b)、セバスチャン・カプテイン(ds)のトリオが中心。曲によって、ヴィヴィアン・ロング(cello)とカール・スヴェンソン(g)、ヴァネッサ・マティス(back vo)が加わる。
作詞・作曲ともに全曲マリアのオリジナル。1曲目の「Walking Down the Avenue」から、しなやかなスキャットと牧歌的なピアノのコラボレイションが美しい「Autumn」、リズミカルな「Longing」まで、随所にポップな要素を残しつつも、アコースティックなジャズらしいサウンドだ。北欧の情景を想起させるような魅力的な旋律が続き、心地よい時間がゆったりと流れていく。リズムでピアノとドラムが歌と一体化した「Cabare of Life」、うねるようなリズムをバックにバック・コーラスが加わる「I Left My Town」、ベースとの自由な絡みがスリリングな「The Game」など、歌い手としての繊細な表現のみならず、ソングライターとしての飛躍にも大いに期待が寄せられる。


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by makotogotoh | 2011-09-21 04:11 | Swedish Jazz

森泰人第39回 Scandinavian Connection

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今回のスカンジナビアン・コネクション(SC)は、先ごろイエテボリ大学を定年退職したロニー・ヨハンソン(p)と、ボーヒューレン・ビッグバンドでもおなじみのオーヴェ・インゲマールション(ts)を含むカルテット。ちょうど先ごろ発売されたロニーの最新作『Permanent Vacation』の発売記念ツアーでもある。ドラマーはアンダーシュ・シェルベリに師事した北欧通の嘉本信一郎。ちなみにロニーは20歳の時、ウプサラでエリック・ドルフィーと共演した経験をもつ。
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最初に森泰人から簡単なメンバー紹介があり、続いて今回の主役ロニーにマイクを渡す。元大学教授のロニーは、話が長いので有名だ。曲目紹介にとどまらず、つい講義が始まってしまい、みんなでじっと聴く。話はペンタトニック、チャーリー・パーカー、コルトレーン、マイケル・ブレッカー、トリスターノ、ウォーン・マーシュ、マーク・ターナーとひろがり、とどまるところを知らない。
ロニーの曲想はどれも多彩、オリジナル曲は変化に富み、聴く者を独自の世界に引き込む。ミュージシャンの間で評価の高いオーヴェのテナーも本当に魅力的で、今年4月のSwedish Jazz Celebrationでは特別賞に選ばれたという。彼のフレーズと音色には誠実な人柄がにじみ出ており、マイケル・ブレッカーというよりも、若き日のジョン・コルトレーンを彷彿とさせる。SC初参加の嘉本のドラムも素晴らしく、ロニーも理解の速さや反応のよさに「Kamoto, Good!」を連発。セカンド・セットでは森の名曲「Waltz for Vanja」や、スウェーデン民謡を含む選曲で味わい深いステージとなった。なおこの後の公演は以下の通り。お見逃しなく。
11月03日(水) 山形 シベール・アリーナ(CYBELE ARENA)
11月04日(木) 新潟 「JAZZ FLASH」
11月05日(金) 古河 「Cafe Up's」
11月06日(土) 秋田 「The Cat's Walk」
Ronny Johansson(p) Ove Ingemarssion(ts) Yasuhito Mori(b) Shinichiro Kamoto(ds)
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1st set:
1.Ginza(Ronny Johansson)
2.Night and Day(Cole Porter)
3.Flying High(Ronny Johansson)
4.Blue Waltz(Ronny Johansson)
5.Raymond on the Bike(Ronny Johansson)
6.Japanese Blue(Ronny Johansson)
7.Kind of Blues(Ronny Johansson)
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2nd set:
8.More Champaigne Please(Ronny Johansson)
9.Caribbean Wind(Ronny Johansson)
10.Some Like It Cool(Ronny Johansson)
11.Waltz for Vanja(Yasuhito Mori)
12.Third Star(Ove Ingemarssion)
13.Seem Like Yesterday(Ove Ingemarssion)
14.Badderblues(Ronny Johansson)
Encore:
15.Jag vet en Dejlig Rosa(Scandinavian Traditional)

16.Body and Soul(Johnny Green)
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by makotogotoh | 2010-11-03 04:11 | Swedish Jazz

Lars Jansson Trio with Ulf Wakenius @ Kichijoji Sometime

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昨年の9月に続いて、約1年ぶりとなるラーシュ・ヤンソンの日本ツアー。昨年は長年率いたレギュラー・トリオによる公演だったが、今回は9月に発売されたばかりの新作『What's New』と同一メンバー。さらにオスカー・ピーターソンと最後の10年間、活動をともにした巨匠ウルフ・ワケーニウス(g)がゲストとして加わっている。10月3日から10月7日まで大阪、名古屋、仙台、横浜、六本木の各地で演奏し、この日がツアーの最終日。会場はすでに満席だ。ラーシュ・ヤンソンのファンは、女性の割合が高いのが特徴だが、そこにワケニウス目当ての元ギター少年とおぼしき男性ファンも多数みられ、幅広い世代から支持されていることがわかる。
ラーシュは1951年生まれ、来年の2月25日で60歳になる。これまで確立したスタイルを守り、老いに備えるのではなく、アーティストとしてさらにポジティヴでアグレッシヴな生き方を彼は選んだ。ドラムのポール・スヴァンベリーは自分の息子、ベースのトーマス・フォネスベックは自分の教え子。彼ら若い世代との共演によって、何かを学び、何かを伝えようとしているようだ。
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日本でラーシュ・ヤンソンというと、「北欧のビル・エヴァンス」といった形容が多く、キース・ジャレットとの類似性が指摘される機会が多いが、彼の音楽的ルーツはジョン・コルトレーンであり、ピアニストとしてはマッコイ・タイナーの影響がもっとも色濃く感じられる。アフロ・リズムを採用したブルースや、ワケニウスの「Toronto 2PM」など、速いテンポの演奏は、ちょうどエルヴィン・ジョーンズを擁した60年代のコルトレーン・カルテットを彷彿とさせる。また現存する伝説的巨匠のひとり、アーマッド・ジャマルも、ヤンソンに影響を与えたピアニストのひとりだ。
その一方で、メロディメイカーとしての卓越したセンスの持ち主でもあるヤンソンは、孫娘のヒルダが生まれた喜びを綴った2編のバラードで、変わらぬ独自の世界を堪能させてくれた。若いリズム隊には、もちろん荒削りな部分もみられるが、とにかく勢いと一体感がある。音楽のエネルギーが小さなバンドスタンドからそれを囲む四方の客席へ波動のように伝わっていく。
デビュー作を発表したばかりのトリオだが、伸びシロは十分。ラーシュは今後このメンバーで活動を続けていくのだろう。
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トレードマークの黒いキャップをかぶったゲストのワケニウスは、52歳の現在でも元不良少年の雰囲気を漂わせている。70年代にマハビシュヌ・オーケストラやロック・ミュージックからスタートし、その後はピーターソンやペデルセンなど巨匠と共演を重ね、ジャズ・ギタリストとしての方向性を確信したワケニウス。指はよく動くし、ドライヴ感も抜群、さらにロック・テイストも取り入れた豊富な語彙。ジャズ・ギターの王道というよりも、コンテンポラリー・ジャズとメインストリーム・ジャズの間を自由に往来できる素晴らしい才能の持ち主だ。ヤンソンの新生トリオとワケニウス。両者の活躍に引き続き注目していきたい。
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Lars Jansson(p) Thomas Fonnesbaek(b) Paul Svanberg(ds) Ulf Wakenius(g)
1st set
1.What's New(Bob Haggart)
2.LaTour(Jansson)
3.Hilda(Jansson)
4.The Way You Look Tonight(Jerome Kern) with Wakenius
5.Hilda Smiles(Jansson) with Wakenius
6.Tronto 2PM(Wakenius) with Wakenius
2nd set
1.Jamal(Jansson)
2.Hope(Jansson)
3.Beginners Blues(Jansson)
4.Shenandoah(Traditional)
5.To All Fore Winds(Jansson)
Encore
1.Don't Be Shy(Jansson)
2.The Song Is You(Jerome Kern)
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by makotogotoh | 2010-10-09 04:11 | Swedish Jazz

Maria Rylander

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2010年4月上旬、サイモン・ヴェストマン(p)、森泰人(b)と初来日を果たしたマリア・ルランデル(vo)の自主制作盤。今回のツアーで会場販売するために作られたものでレーベルもカタログ番号も記されていない。
録音は2008年1月、ウデヴァラにあるChrister Olofssons Studio。全曲、詞・曲ともにマリアの作。Facing South, Cabare of Life, The Game, Walking Down the Avenue, Longingの5曲を収録している。リズミカルな「Walking Down the Avenue」とサンバの「Longing」をのぞく3曲が、ゆったりとしたバラード。ジャズだけでなく、現代音楽やクラシック的な要素もうまく取り入れている。ヴェストマンのピアノと森のベースが一体となって作られる有機的なサウンドに、透明感のあるマリアの声が、自然と溶け込んでいく。歌手としてのみならず、作曲家としての才能にも注目させられる逸材。これからの彼女がどんな楽曲を作っていくのだろうか、それを見守るのも楽しみのひとつである。
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by makotogotoh | 2010-05-04 04:11 | Swedish Jazz