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ホレス・シルヴァー・クインテットの未発表ライヴ

a0107397_1371296.jpg 《ジャズ界の発掘王》マイケル・カスクーナ(1948~)は、ブルーノートに代表されるEMIのテープ倉庫を漁りつくしたのか、最近は米国議会図書館やソニー(コロンビア)やBMG(RCA)の倉庫に出入りしているようだ。その成果は自ら主宰するモザイクレコード(マニア向け通販レーベル)で販売しているが、2008年2月、大手ブルーノートから出るホレス・シルヴァーの未発表ライヴ録音は、伝説のルイス・スミス(tp)が参加した貴重な記録としてそうした過程で彼が見つけたものだ。ハード・バップのマニアの間で、話題を集めそう発掘である。以下カスクーナ執筆のライナーからちょっとだけ引用してみよう。

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by makotogotoh | 2007-12-31 11:02

タイムの歴史

 タイムといっても、ボブ・シャッドが設立したブッカー・リトルやソニー・クラーク、マックス・ローチの名盤が並ぶ、あのジャズ・レーベルではない。
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 東京新聞の平成19年12月26日朝刊「情熱/解剖図鑑」に「生音刻む中古レコード」というタイトルで、高田馬場の中古レコード店「タイム」の渡辺信(34)さんが紹介されている。

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by makotogotoh | 2007-12-30 00:01

ネット世代の教育とは?

大人になってインターネットを使うようになった上の世代と、子供の頃からインターネットを当たり前のように使っている下の世代では、情報に対する認識や学習方法はどう違うのか。世代によって価値観や好き嫌いの傾向はあるのか。こうした情報は、自分以外の世代を知る上で重要な情報である。原文はこちら。全部読むと大変なので、以下気になったところだけ引用。
《コンピュータを身近に育った個人は、前の世代と異なる方法で情報を処理している。彼らはハイパーテキストの感覚をもち、いくつもの画面を飛び回る。直接的な思考より、複雑な思考が一般的で、複数の知的資源から情報を得ることができる。彼らは他の世代と以下の点で異なる。
1)視覚イメージを読む能力(本能的に視覚的なコニュニケーションをする)⇒文字や音声より、ヴィジュアルを好む。
2)視覚空間能力(おそらくゲームで培ったもので、ヴァーチャルと実物を統合できる)同上。
3)機能的な発見(教えられるより、自分で発見することで、よりよく学ぶ)⇒試行錯誤が好き。
4)注意の拡散(ひとつの作業から他の作業に注意を振り返ることができる。興味のないことには一切注意を向けないことができる)⇒要するに気が効かないヤツ。
5)短い反応時間(自分は即座に回答し、相手にも即座な返答を期待している)⇒わたしだ。
ネット世代は、他の世代よりもネットワークメディアの可能性を把握している。
・特定の人と連絡を取り合う。
・不特定多数の人にむけて情報を発信する。
・知らない人とネットで会話をする。
 以下は2004年にRita M.Murrayがまとめた世代別の傾向(Generational Trends)から。ソースはこちら
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■成熟者たち
誕生年:1900-1946
名称:偉大なる世代
特性:命令と統制、自己犠牲
好きなもの:権威への尊厳、家族、地域活動
嫌いなもの:無駄、テクノロジー
■ベビーブーマー
誕生年:1946-1964
名称:「私」世代
特性:楽観主義、ワークホリック
好きなもの:責任、職業倫理、やればできる
嫌いなもの:怠惰、50歳になること
■ジェネレーションX
誕生年:1965-1982
名称:鍵っ子世代
特性:自立、懐疑的
好きなもの:自由、並行作業、仕事と生活のバランス
嫌いなもの:官僚主義、まやかし
■ネット世代
誕生年:1982-1991
特性:希望的、決意
好きなもの:公共活動、最新のテクノロジー、両親
嫌いなもの:遅いものすべて、否定性

 この分類によれば1964年生まれの私はベビーブーマーの最後列に属する。私自身、親の世代(昭和ひと桁)の影響も受けているが、ジェネレーションXやネット世代とは、人生観や音楽観がかなり違うな、という実感もある。同じ世代なら会話をする場合でも共通の認識がある。しかし他の世代とのコミュニケーションには自分の世代の特徴、相手の世代の特徴をあらかじめ知っておいた方が、トラブルを回避できる可能性が高い。みなさん気をつけましょう。
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by makotogotoh | 2007-12-29 00:36

イギリスの評論家によるピーターソン訃報記事。

知られざるエピソード満載、これぞプロの仕事。ちょっとボリュームが多すぎて満腹ですが。イギリスのジャズ評論家Steve Voceによるピーターソンの訃報記事。ソースはこちら
Oscar Peterson: Virtuoso pianist who dominated jazz piano in the second half of the 20th century
Oscar Emmanuel Peterson, pianist: born Montreal, Quebec 15 August 1925; married first Lillie Fraser (deceased; two sons, three daughters; marriage dissolved), second 1958 Sandra King (marriage dissolved 1976), third 1977 Charlotte Huber (one daughter; marriage dissolved), fourth Kelly Green (one daughter); died Mississauga, Ontario 24 December 2007
Published: 26 December 2007

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by makotogotoh | 2007-12-28 07:09

これは阿久悠さんの遺言状だ(市川森一)

a0107397_216537.jpg 2007年8月に亡くなった阿久悠さんの『清らかな厭世―言葉を失くした日本人へ』(新潮社)を読む。
産経新聞の連載「阿久悠 書く言う」(平成16年4月3日~19年6月9日)を再構成。「はじめに」平成16年3月7日産経新聞「正論」に掲載されたもの。 
どのエッセイも、見開き2ページで、すらすら読ませる。しかし、なかなか進まない。一つ一つのフレーズが気になたって、つい読み返してしまうのだ。一編一編のエッセイが、まるでひとつの歌のように。
言葉で時代を切り取って阿久は、劣化した近年の日本社会を、日本人を、ひたすら嘆く。
日本の文化、日本人としての文化を愛し、それを言葉に乗せて、表現してきた阿久悠の視点、人生観、そして哲学が伝わる。脚本家、市川森一さんの書評から。
《これは阿久悠さんの遺言状だ。生涯を「言葉」だけを武器に俗世と斬(き)り結んできた人の最後のアフォリズム(警句)だ。
 たとえば、「ユーモア」という言葉が死語になってしまっていることを阿久さんは指摘する。そのかわりに蔓延(まんえん)しているのが、テレビの「お笑い」だという。それも、かつての喜劇人たちは(チャップリンもエノケンも)、自分を痛め傷つけることが笑いの原則だったのに比べ、いまのテレビのお笑いの主人公たちは(さんまもダウンタウンも)、決して自分たちは傷つかない。自分たちはもっとも優越的な場所にいて他者を笑いものにしている。「被害者を指名してみんなで取り囲んで、まあ、逃れられない悲劇にしておいて、選択肢のない残酷を笑うのである」
 そこにはユーモアの欠けらも存在しない。「ユーモア」とは何か? そんな問いに阿久さんはひと言で答えてくれる。
 ユーモアとは、相手を許すことだ、と。
 こうしたエスプリの利いた警句が頁(ページ)をめくるごとに針のようにチクチクと胸を刺してくる。
「ペーパードライバーが最優秀ドライバーのような人間の評価が罷(まか)り通る」といった嘆きの言葉もでてくる。
 いまの情報社会は、敗者復活不能のシステムだと、阿久さんは言う。
 「社会は汚れきり、人間の美意識は乱れてしまっているのに、自分以外の人に対しては完璧(かんぺき)を求め、ちょっとでも欠点や失敗が見つかると袋だたきにする社会構造は何なのだろう」と、首をかしげ、結局、「何にもしなかった人だけが褒められる社会になってしまう」という疑問が突きつけられる。
 「若者はほっといても若者だが大人は努力なしでは大人になれない」。かくして、だれも大人になろうとしない奇っ怪な価値観の国から、数少ない大人が、またひとり消えていった》
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by makotogotoh | 2007-12-28 05:37

儀式としてのステージ(R.I.P. Oscar)

かけがえのない感動を与えてくれたオスカーに、めいっぱいの感謝をこめて。
(ジャズライフ誌2004年12月号より)
 日本とカナダが国交を開始して75周年。それを記念し、カナダから巨匠オスカー・ピーターソン、日本から若手の上原ひろみが、(両者の共演はなかったが)同じステージに立つという、異例のダブルビルが実現した。会場となった東京国際フォーラムホールAは、いわゆるジャズ・フェスティバル規模の興行を行うキャパシティを有する。まさに老若男女、あらゆる世代の音楽ファンが集まったという感じだった。

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by makotogotoh | 2007-12-27 12:37

2008年3月 Gene Dinoviの日本公演

a0107397_2305089.gif2008年3月、ジーン・ディノビの来日公演が決定した。スケジュールは以下の通り。

3月16日(日)武蔵野スウィングホール(ソロ)
3月18日(火)プチ・エル(大阪府立労働センター)この日のみ滝川雅弘(cl)参加のカルテット
3月19日(水)横浜イギリス館(ソロ)

予約・問い合わせはマシュマロレコード(045-401-6516)まで。
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by makotogotoh | 2007-12-27 00:02

これであなたも「専門家」?

a0107397_9492390.jpg 佐々木俊尚さんの『3時間で「専門家」になる私の方法』(PHP)を読む。
《佐々木俊尚です。 今回、私がITの世界を取材する際、リサーチをどのように行っているのかという、その手法を明らかにする本を書いてみました。 ここまで書いてしまって「なんだ、佐々木はこんな仕事のやり方をしているのか」と思われてしまったらどうしようとも思ったのですが、結果的には勢いに乗って全面開示です。 もしよろしければ、読んでみてください》
《ネットを活用すれば、かつては途方もない作業が必要だった「情報収集」が、3時間でできるようになった。その実践的な方法を全公開!》

 『フラット革命』が元新聞記者らしく綿密な取材に基づく時間をかけたノンフィクションだったのに対し、こちらは「たった3時間で、お手軽に読んでもらうことを目的としたハウツー本」である。こちらの期待が大きすぎたのかもしれないが、日々ネットを使っている人なら誰もが知っている当たり前のことを、わざわざ具体例をあげながら、ダラダラ書いているだけで、佐々木さんの本にしては非常に内容が薄い。
 今のようにインターネットがなかった頃、情報収集のソースといえば、図書館と新聞だった。どちらも、まず情報を蓄積する作業からスタートした。梅棹忠夫、立花隆、野口悠紀雄らの名前をあげ、いずれも蓄積した情報からいかに効率よく検索するかを述べた。しかしネット時代では、情報は蓄積するのではなく検索するものであるという。
 たしかにネットによる検索は便利だ。しかしそこで得た情報が絶対的に正しいとは限らない。いくらグーグルがネット内にある情報をすべて可視化するという目標をもっていても、いまだにネットに落ちていない有益な情報もたくさんある。
 スタンダードの楽曲について全く無知な人間でも、検索エンジンを使って、ひと通りの知識を得れば、それを書くことはできる。しかし作詞者と作曲者を間違えるミスや、同姓同名のミュージシャン(たとえばカール・パーキンス、ビル・エヴァンス)を混同するケースだって起こりうるだろう。いったいその間違いについて、誰が責任をとるのか。
 またたった1枚のアルバムだけを発表して消息不明となった女性歌手について、ネットで検索しても何も情報が得られないケースがほとんどだ。こういうことがあるから、ビル・リードみたいな探偵が必要なのだ。

 内容が薄いと書いたが、それでもさすがは佐々木さんらしく、収穫はある。《ブログからは書き手の実感や本音がみえる》という。でもわたしがたまに訪問するブログは、どうでもいい日記と、生半可な知識による思い込みがほとんどだ。匿名による掲示板にも、クオリアとセレンディピティの話も出てくる。ただこの本、情報の集め方について詳しく書いているが、集めた情報をいかに取捨選択し、どういう情報を発信するかについては、何も書いていない。情報を集めるだけでは、レコードのコレクターと同じだ。独自の視点で、情報を発信できない限り、プロの「専門家」とはいえない。

 どこかの出版社で『3時間でジャズ評論家になる私の方法』『1時間でCD解説を書きあげる私の方法』『音楽を聴かずして解説を書く私の方法』という本を出しませんか。もちろん私は無理です。しかし、あの人ならきっと書ける!という名前がすぐ浮かびました(笑)。
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by makotogotoh | 2007-12-26 12:48

訃報 オスカー・ピーターソン

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哀しいお知らせです。写真は公式HPより。
2007年12月23日(日)夜、ジャズ・ピアノの大巨匠オスカー・ピーターソンがカナダ・トロントから少し離れたオンタリオ州ミシサーガで亡くなったそうです。死因は腎不全。享年82歳。ソースはこちら
1993年に脳梗塞を患ってからも不死鳥のように復活。諦めることなく、常に演奏し続けるその姿は、往年とは違う感動を与えてくれました。2004年10月、ブルーを基調にしたスーツでゆっくり登場して、ちょうど一時間のステージ。東京国際フォーラムホールAで見たのが最後でした。合掌。
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by makotogotoh | 2007-12-25 08:38

ネットとジャーナリズム、 音楽評論の未来とは?

 佐々木俊尚さんの『フラット革命』でも紹介されていた『幻影随想 別館』というブログの「ネットとジャーナリズム」という2005年4月21日のエントリーから。

《HotWiredでブログを書いている佐々木氏が毎日新聞にこんな記事を書いていた(中略)
◆ジャーナリズムをスーパーマーケットとレストランに例えてみる
 ジャーナリズムの中身は「情報の提供(食材屋)」とその「情報を分析し、誰にでも分かる形で広く知らしめること(料理屋)」に大別できる。
◆素材提供と料理は分業可能
《現在のジャーナリズムは「情報の収集発信」と「情報の分析提示」の二つをまとめて行っている。この2つは別物であり、食材提供(一次情報の提供)と料理(集まった情報の分析)は分離可能。つまりどちらか片方だけに特化して業界に参入することが可能。特に情報分析(料理屋)の分野にはブロガーが進出しやすい》
◆「ネットはマスコミを殺すか?」
長い間独占市場のぬるま湯に浸かり続けていたマスコミが提供する商品のクオリティを落としていることは間違いなく、当分はネットに客を奪われ続ける。特に料理(情報分析)の分野ではそう簡単に劣勢を挽回できるとは思えない。少なくともあと3年くらいは今の状況が続きそうだと見ている。団塊の世代がいなくなって、ネット世代が実権を握るまではそう簡単に変わらないのではないか。食材屋としての「マスコミ」はまだまだ需要が大きい。マスコミが今後とるべき道としては次の3つが考えられる。
1.素材提供に特化(一次情報の収集発信に特化)
2.情報分析力(料理の味)の向上に勤め、客を取り戻す。
3.専門店、腕利き料理人を自分の内に取り込む。
1,2については説明するまでも無いと思うので、3についてもう少し触れておく。
ネット上には専門素材店といえる一次情報の発信者も存在することは先程も述べたとおり。そしてマスコミはスーパー的な存在だ。ならばスーパーが内部に専門店を取り込むことがあるように、ネット上の有為な情報発信者を自身の内に取り込む選択肢があって然るべきだ。また、料理のクオリティを上げるために外部から腕利き料理人をスカウトしてくるという選択肢も当然ありうる。実際にアメリカでは既にそういう動きがおきている。
 日本の場合マスコミ業界の人材流動性の悪さがネックになるだろうが先のことを考えれば決して排除できない選択肢のはずだ。真実の一端をかすめながらこんな結論に辿り着いてよしとしてしまうのは、彼らがいまだに現状を理解していない証左だろう。その「一次情報の分析」がなってないから、言い替えれば料理の腕がへぼいからブログに読者を奪われているのに。「所詮はうちのスーパーで買った食材じゃないか」だって?自分のところの食材すらろくに調理できない人間が吐いていいセリフではない。あきれを通り越して哀れみすら感じるほどに何も分かっていない。
 佐々木氏はそこのところを理解されているようだが、こういった勘違い記者を淘汰していかないとマスコミの質は向上しないだろうなとやや悲観的な思いを抱いた。やはり世代交代が終わるまで大手メディアは変わらないのだろうか?》

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by makotogotoh | 2007-12-25 00:56