光を集める生活はそれだけ深い闇をつくり出すだろう(清水哲男)

a0107397_12175933.jpg 平川克美『株式会社という病』(NTT出版)を読む。平川さんは1950年生まれ。早稲田大学理工学部卒。1999年、米サンノセにBusiness Cafe Inc.を設立。現在、同社CEO、(株)ビジネスカフェジャパン社長。
 最近の不祥事やベストセラーを俎上に上げ、それについて持論を展開。この人がこの人なりにいろいろ考え、著作物やネットで情報発信をしていることは分かる。だが、この本を読む限り、論旨が回りくどく「で、何がいいたいの?」と突っ込みたくなる。さらにどの結論も当たり前すぎて、?という感じだ。
 ビジネス書のようだが、ビジネス書ではない。技術についても社会についても、中庸の立場を貫く人のようだ。西垣通さんの『ネット社会でどう生きるか』と同様、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』についても異論を唱えている。「第五章 技術論―『ウェブ進化論』では語りえないこと」より。
《インターネットの出現とそれに続く情報の氾濫によって、確実に人間は知性的であることの意味と知に対するマナーを見失ったとさえ考えるのである。(中略)知識は積み木のように積みあげてゆくことはできるが、知性とはそのようなものではない。むしろ、積み上げてきた思考のプロセスを、積み木崩しのように、崩すところからしか、新しい知性というものは生まれてこない。私(たち)が、何度も繰り返してきたように、知性とは自分が何を知っているかではなく、自分が「何を知らないかを知っている」というところに、その本質を持っているからである。(中略)私が知っている限り能う限りの情報を寄せ集めても、私というものを再構成することはできない》
 ベストセラー『国家の品格』についても異論を唱えている。しかし、結論が簡潔で明快に書かれていないとイライラする私には向いていない本だった。
 《光を集める生活は、それだけ深い闇をつくり出すだろう。》は詩人清水哲男の『短い鉄の橋を渡って』は筆者が本書で引用した2行。筆者のいいたいことはこの2行に集約されているという。2行で集約できることを、わざわざ1冊の本を使って書くのか?2コーラスで集約できるソロを、延々と引き伸ばした感じだ。ものごとの二面性を捉えた表現なら《うまい話には裏がある》など、いくらでもある。
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# by makotogotoh | 2007-10-22 12:34

2007年最後の大ニュースです。これ。(山本隆)

a0107397_228419.jpg 12月7日、ディスクユニオンが『Tommy Flanagan/The Complete OVERSEAS +3 ~50th Anniversary Editon~』(DIW-488)を発売する。「コンプリート」に「+3」とはどういうことか。ややこしいので整理しておくと、『OVERSEAS』は、1957年に録音されたTommy Flanaganの初リーダー作。『The Complete OVERSEAS』とは、1984年にDIWが発売したそのCD(LPもあった)で、オリジナル・アルバムの9曲に別テイク3曲を追加されている。今回の『The Complete OVERSEAS +3』は、さらに新たに発見された別テイク3曲をさらに追加したもの。要するにオリジナル・アルバムの9曲に6曲の別テイクを追加した『OVERSEAS(+6)』である。約66分収録。お値段は2500円。

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# by makotogotoh | 2007-10-21 00:11

「感動力」を養う(早川和男)

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早川和男『権力に迎合する学者たち 「反骨的学問」のススメ』(三五館)を読む。 早川さんは1931年生まれ。京都大学工学部卒で、現在は神戸大学名誉教授。「住居は人権である」という理念のもと、「居住福祉」という概念を提唱した「すまい学」の第一人者だ。
 この本は、《政府の各種審議会の委員などに登用され、国民生活やその命運にかかわる政策の策定に携わるなど、世俗的な「権威」付けに利用され、あるいは隠れ蓑にされていることに疑問を持たない学者》が増えていることを危惧した筆者が、《学者が政治や行政や企業の僕(しもべ)となって真理を追求せず語らず、医師が人のいのちを守らず、建築家やプランナーが人びとの暮らしから離れ、ジャーナリストが真実を歪め、政治家、官僚が権益維持のために国民を犠牲にする社会》について、本当にそれでいいのか疑問を投げかける。研究費確保のために、流行を追いかけたり、委託研究ばかり引き受け、研究者として本来あるべき姿を忘れていると、いつに間にか権力構造のなかに組み込まれている。昨今の市場原理主義に翻弄される学者たちが、知の閉塞状態から脱するために、創造的研究をするためには、どうすればよいのかを提案している。

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# by makotogotoh | 2007-10-20 20:20