カスタマーズ・レヴューは役に立たない?(2)

 昨日の続き。内田樹さんの最新刊『村上春樹にご用心』がブログに書かれた文章をもとに書籍化され、カスタマーズ・レヴューで酷評されているのとは対照的に、池田信夫さんの『ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成』の場合は(3人だけだが)、同じカスタマーズ・レヴューでも絶賛されている。
 どちらも、もとはブログで書かれた文章だ。しかし、有能な編集者が再構成し、著者が単行本として通用するように大幅な加筆・修正を加えれば、ブログの愛読者からも非難はされない、ということである。《ブログ→単行本》が悪いわけではないのだ。
 両者の違いがあるとすれば。内田さんは人文系の研究者、池田さんはIT技術関連やマスメディアの利権に精通した研究者・ジャーナリストということだろう。
 《カスタマーズ・レヴューが役に立たない》といわれるのは、それが書き手の感情や能力によって、いかようにも書かれ、読み手によって、いかにようにも解釈できるからである。
 不特定多数による匿名のレレューは、その書き手がどういう背景と、どういう価値観をもつなのか、レヴューをどういうスタンスで書いているか、読む側にはさっぱり分からない。まだ、ひとりの人間が自分のブログでせっせと書評している方が、まだマシかもしれない。
 《お金を払ったのだから、その意見は正しい》というのは幻想である。

■『ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成 』はこちらから。
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# by makotogotoh | 2007-10-04 12:35

カスタマーズ・レヴューは役に立たない?(1)

 先ごろ、神戸女学院大学の内田樹さんが『村上春樹にご用心』という本を出した。自身のブログで書かれた村上春樹に関する記述を1冊の本にまとめたものだが、すでに書かれたネット書店のカスタマーズ・レヴューをみると、(予想通り)否定的なものが多い。現時点で4人のコメントがあり、「がっかりした」「村上人気にあやかった筆者のいやらしさだけが目立つ本」と、その表現は実に辛辣だ。
 インターネットやブログが存在しなかった頃、売れっ子作家が単行本を出すのは、書き下ろしではなく、雑誌や新聞に寄稿した連載やコラムをまとめるというケースが多かった。雑誌や新聞というメディアは基本的に「読み捨て」だから、繰り返し見たいという人にとっての記録性が低い。そういうニーズを実現するには、書籍という形にまとめるのが一番だ。ケータイで小説を読む人もいるようだが、今後インターネットの技術がどんなに進歩し、雑誌や新聞から得た情報の大部分で、ネットから得られるようになったとしても、書籍という形は必ず残る、といわれるのはそのためだ。
 一方で、ものを書き、それを発信することは、今の時代、誰でもできる。そのコストはほとんどゼロだ。そして書かれたものの多くはタダで、誰でも読める。インターネットがなぜこれだけ短期間で爆発的に普及したのかといえば、情報を得る手段を自分で確立させすれば、その費用はすべてタダ!というところにある。
 書籍という商品になり、対価を払ってその文章を読んだ時、今までタダで読めたものと内容がほとんど同じだったので、納得できない!というのが、上記レヴュアーの理屈なのだろう。
 ネット書店では、こういう感情的な不満が、誰でもかけるカスタマーズ・レビューとして、第3者にむけて公開されている。しかも書き手は匿名だ。しかもそのレヴューに、過半数の人が「参考になった」と投票している。ネット社会では、同じような意見をもつ人が少なくないのだろう。
 以前とりあげたディスクレヴューでもそうだが、ネット社会の論評は、論理的よりも感情的に走りやすい。また肯定的な意見よりも、否定的な意見が支配的だ。そして何よりも後者の伝播するスピードが圧倒的に速い。これは誰もが意見ができるフラットな構造、匿名でものが言える社会の傾向として、しっかり留意しておく点である。

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# by makotogotoh | 2007-10-03 12:34

本日のオススメならぬ……

a0107397_16433594.jpgある焼肉屋さんにて。店頭に、おすすめのメニューや本日のランチを告知している飲食店は多いが……。〈本日の品切〉も前もって告知しておかないと、怒って帰ってしまうお客さんがいるのだろうか。大変である。
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# by makotogotoh | 2007-10-02 16:45