横浜エアジンのサイトで偶然発見した訃報。

横浜エアジンのサイトで ディスクユニオンの名物店員だった秋山健さんが21日(元同僚の沼田順さんのブログには20日夕方とある)、がんのため亡くなったことを知る。享年47歳。
喉頭、食道、肺をがんでやられていたという。発見が遅く、全身に転移していたのだろう。彼が横浜馬車道店に異動してからは店に足を運ぶことはほとんどなかったが、その昔、渋谷店にいた頃には、何度かお世話になった。
 かつてのディスクユニオンには新宿、御茶ノ水、渋谷に、それぞれジャズ専門の名物店員がいた。フリーに強い御茶ノ水、全スタイル・カバー&廃盤充実の新宿、若者向けやクラブ系も視野に入れた渋谷と、それぞれのお店が独自のカラーを出していた。もちろんインターネットなど、なかった頃の話である。
 「なにかオススメの新譜はありますか」と聞くだけで、すぐ数枚を選んでくれた。メンバーと曲目を見て、手に取った新譜を「これはどうですか」と尋ねると、「それはちょっと……」とお茶を濁す。要するに「買わない方がよい」という無言の意思表示だ。信頼できる店員さんがいたのだ。
 ネットの時代になり、ユニオンにもPOSが導入され、本部で商品管理されるようになると、各店のカラーは急激に希薄になっていく。どこに行っても、同じような新譜やピアノ・トリオが店頭に並ぶ。足で探す楽しみがなくなった。店頭もコンビニのようになり、以前のように気軽に質問できる雰囲気がなくなった。一度なにか質問して「さぁ?」みたいな返事がきたら、普通はもう2度と質問しなくなるものだ。商品知識のない店員、常連客の好みを知らない店員が増え、本部の指示通りに売れといわれた商品をただ並べて売る。
 かつての名物店員の多くも、退社したり、管理職になったりと現場を離れてしまった。
 時代は変わり、CDショップで働く店員さんがバイヤーと呼ばれるようになる。
 経費削減のためかネットやフリーペーパー、ライナーノーツなどで、積極的に執筆するバイヤーも多数出てきた。しかし、彼らの文章に接すると、今でもなにか大きな違和感を感じてしまう。その人がどういう人で、そのアルバムがどういうスタイルで演奏しているのか、こちらが知りたい最低限の情報が書かれていないのだ。
 思うに、ひとりのバイヤーが仕入れから販売、そして執筆まで、なんでもこなすことで、すべての仕事の質が落ちた、という気がする。バイヤーがバイヤーに徹し、接客に徹し、店のよき雰囲気作りに注意を払っていた頃のディスクユニオンは活気があり、熱気があり、輝いていた。
 そして別に言葉を交わさなくても、客から尊敬されている店員や店長がいた。
 秋山さんは、そんなディスクユニオンの伝統を守り続けた誇り高き店長だった。合掌。
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# by makotogotoh | 2007-10-24 07:48

福居良 秋のツアー・スケジュール

a0107397_710288.jpg福居良(札幌在住のピアニスト)の秋のツアー・スケジュールが決定した。ここ2年のうちに初リーダー作『シーナリー』、セカンド・アルバム『メロードリーム』が復刻されるなど、クラブ系ジャズ・ファンの間でも人気・知名度をあげつつある福居にとって1年ぶりのツアー。今回は神戸と横浜でも演奏する。
10月30日(火)西新宿 白龍館(03-5323-6550)村上寛(ds)吉田豊(b)
10月31日(水)新宿5丁目 ミノトール2 荒巻茂生(b)横山和明(ds)
11月2日(金) 神戸 Born Free (078-441-7796)魚谷 のぶまさ(b)岩高 淳(Ds)
11月3日(土) 大阪 B-Roxy (06-6562-2558)井上幸裕(B)東敏之(Ds) 
11月5日(月) 名古屋 サニーサイド(052-847-6177)ピアノ・ソロ
11月6日(火) 名古屋 ラブリー(052-951-6085)森剣治(as,cl)加藤雅史(bass)神田秀雄(ds))
11月7日(水)横浜 チェリオ(045-651-9013)
11月8日(木) 横浜 エアジン(045-641-9191)高尾幸宏(b) 松浦賢二(ds)
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# by makotogotoh | 2007-10-23 07:20 | 福居良

光を集める生活はそれだけ深い闇をつくり出すだろう(清水哲男)

a0107397_12175933.jpg 平川克美『株式会社という病』(NTT出版)を読む。平川さんは1950年生まれ。早稲田大学理工学部卒。1999年、米サンノセにBusiness Cafe Inc.を設立。現在、同社CEO、(株)ビジネスカフェジャパン社長。
 最近の不祥事やベストセラーを俎上に上げ、それについて持論を展開。この人がこの人なりにいろいろ考え、著作物やネットで情報発信をしていることは分かる。だが、この本を読む限り、論旨が回りくどく「で、何がいいたいの?」と突っ込みたくなる。さらにどの結論も当たり前すぎて、?という感じだ。
 ビジネス書のようだが、ビジネス書ではない。技術についても社会についても、中庸の立場を貫く人のようだ。西垣通さんの『ネット社会でどう生きるか』と同様、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』についても異論を唱えている。「第五章 技術論―『ウェブ進化論』では語りえないこと」より。
《インターネットの出現とそれに続く情報の氾濫によって、確実に人間は知性的であることの意味と知に対するマナーを見失ったとさえ考えるのである。(中略)知識は積み木のように積みあげてゆくことはできるが、知性とはそのようなものではない。むしろ、積み上げてきた思考のプロセスを、積み木崩しのように、崩すところからしか、新しい知性というものは生まれてこない。私(たち)が、何度も繰り返してきたように、知性とは自分が何を知っているかではなく、自分が「何を知らないかを知っている」というところに、その本質を持っているからである。(中略)私が知っている限り能う限りの情報を寄せ集めても、私というものを再構成することはできない》
 ベストセラー『国家の品格』についても異論を唱えている。しかし、結論が簡潔で明快に書かれていないとイライラする私には向いていない本だった。
 《光を集める生活は、それだけ深い闇をつくり出すだろう。》は詩人清水哲男の『短い鉄の橋を渡って』は筆者が本書で引用した2行。筆者のいいたいことはこの2行に集約されているという。2行で集約できることを、わざわざ1冊の本を使って書くのか?2コーラスで集約できるソロを、延々と引き伸ばした感じだ。ものごとの二面性を捉えた表現なら《うまい話には裏がある》など、いくらでもある。
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# by makotogotoh | 2007-10-22 12:34