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Dream Love/Grady Tate

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ジャズからロック、ソウルまで参加したアルバムは4000枚以上といわれるグラディ・テイト(1932~2017)は、60年代から90年代まで超売れっ子のスタジオ・ミュージシャンである。同時に、あまり知られていないが、きわめて優れたジャズ・シンガーでもあった。ビリー・エクスタインの流れを汲んだスタイルの歌は、アーニー・アンドリュースと同系列、余芸の枠をはるかに上回り、専業歌手としてじゅうぶん通用する実力と魅力を兼ね備えていた。
今回追悼盤として、ジャケット装丁も新たに、26年ぶりに復刻されたこのアルバムは、1989年9月、オールアート・プロモーション石塚孝夫のプロデュースで制作された。興味を惹くのは、当時無名の若手だったピーター・ワシントンとルイス・ナッシュの参加だ。マイク・レンジはテイトの他のアルバムにも参加しているが、ここでは普段は使うシンセサイザーを排し、全編ピアノで通している。選曲も「アンフォゲッタブル」「ルート66」といったナット・キング・コール関連のスイング感溢れる歌、「あの娘の顔に慣れてきた」「時の過ぎ行ゆまま」の情感あふれるバラードも素晴らしいが、このアルバムを録音するにあたり、愛妻のために書いたテイトの自作曲「ドリーム・ラヴ」がやはり絶品。今回の解説書にはプロデューサーの石塚孝夫が語るグラディ・テイトの思い出も収録されている。クリスマスの夜に、素晴らしい歌手、グラディ・テイトの偉業に敬意を表して。



by makotogotoh | 2017-12-25 04:11
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