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2018.12.28. 2018 Final Live @ Tokyo TUC

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 1993年の開店から、四半世紀に渡り日本のジャズ・シーンを支えてきたTOKYO TUCが、諸般の事情で年内で閉店することになった。ここ数年、年末恒例のライヴはドラムの大坂昌彦をリーダーとしたセッションで、今年も大坂と同世代の仲間で構成されたセクステットが登場した。メンバーのうち、最年長がアルト・サックスの多田(1960年生まれ)、続いてテナーの岡(1963年生まれ)、ピアノの椎名とベースの井上(1964年生まれ)、そしてリーダーの大坂(1966年生まれ)と続く。最年少はトランペットの岡崎(1971年生まれ)である。客席は大坂のファン、TUCをデビュー当時からホームグラウンドとして活動してきた椎名のファンを中心に、同世代の女性が多い。客席は超満員だが、会場の雰囲気は落ち着いている。
 大坂がこの日のために書き下ろしたオリジナル・ブルースでスタート。TUCとはTokyo Uniform Centerの頭文字だが、The Upper Classを引っ掛けている。全員たっぷりソロを回し、ウォーミング・アップという感じだが、ベースの井上が次々とネタを振るので、大坂も笑顔でそれに呼応する。彼らは、90年代当初、大手レコード会社からデビューする機会に恵まれた。当時キングレコードが宣伝していた「日本ジャズ維新」のキャンペーンの一環として、メディアでも多く取り上げられ、デビュー作を次々と発表していった。「いい時代だった」と大坂がMCで振り返る。
 続いての曲はDuke Pearsonの「Jeannie」。キャノンボール・アダレイ、ドナルド・バードのレパートリーということで、当時「目黒熱情派」と言われたアルトの多田が朗々と歌いあげる。トランペットの岡崎は、ドナルド・バードの派手さより、ケニー・ドーハムのクールネスを感じさせる。3曲目は岡崎が抜け、テナーの岡が加わりJoe Hendersonの「Recorda Me」。2管が抜け、今度は岡崎のワン・ホーン・カルテットで「Like Someone in Love」。こちらも完全ドーハム直系のバラード・プレイで会場を魅了する。最初のセット最後の曲は、ジャズ・メッセンジャーズの音楽監督として活躍、80年代末に再注目を集めたBobby Watsonのオリジナル。ピアノの椎名がエネルギッシュなソロで大いに盛り上げる。
 後半のセットは、岡崎+岡の2管でBenny Golsonの名曲でスタート。続いて岡のワン・ホーンでCharlie Parkerの「Confirmation」。岡のスタイルはビバップ直系ではないが、安定感とうまさを感じさせるプレイだ。続いて多田のワン・ホーンでIf I Should Lose You。キャノンボール張りの艶っぽい音色と歌心が魅力。最後はモンクのオリジナルで循環。管楽器のソロでは、残り2管のリフが入る熱演で無事終了。アンコールはニューオリンズ・リズムのブルース。かつて原朋直(tp)と双頭クインテットを率いていた大坂。その時、ここTUCでNicolas Paytonのクインテットとのダブル・ビルで出演、NHKFMで中継された夜を思い出させた。
 大坂が最後のメンバー紹介、拍手のなか、多田と岡崎が手をあげ客席に応える。会場の照明が明るくなり、場内にFrank Sinatraの「New York, New York」が流れる。どのお客さんも名残惜しそうに会場を後にするなか、ピアノ奥の、客席から見えない位置に小さな写真が置いてあるのを見つけた。若き日の田中さんは、ピアノの近くでステージでしっかりと見守っていた。「ステージに上がる時に普段着はだめ。ジャズ・ミュージシャンはもっと、おしゃれじゃないといけない」というのが、田中さんの口癖だった。田中さんの教えを守ったメンバーたちは、この日もちゃんとドレスアップしていた。
※この日が最後の公演と思っていたが、2018年12月30日に宮嶋みぎわのライヴが入っていた。
【限定ライブ】Thank you TOKYO TUC ‑ special concert with Miggy and friends。

岡崎好朗(tp)多田誠司(as)岡 淳(ts)椎名 豊(p)井上陽介(b)大坂昌彦(ds)
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1st set:
1.When We Leave The Upper Class(Masahiko Osaka)全員
2.Jeannie (Duke Pearson)岡崎好朗(tp)多田誠司(as)+リズム
3.Recorda Me (Joe Henderson)多田誠司(as)岡 淳(ts)+リズム
4.Like Someone in Love(Jimmy Van Heusen)岡崎好朗(tp)+リズム
5.In Case You Missed It (Bobby Watson)全員
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2nd set:
6.Whisper Not(Benny Golson)岡崎好朗(tp)岡 淳(ts)+リズム
7.Confirmation(Charlie Parker)岡 淳(ts)+リズム
8.If I Should Lose You 多田誠司(as)+リズム
9.Rhythm-A-ning(Thelonious Monk)全員
Encore:
10.Whoopin' Blues(traditional)全員
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 TOKYO TUCはレギュラー・バンドの演奏よりも、他店では聴かれない、さまざまな組み合わせや企画を打ち出してきた。オールアートプロモーションが招聘した富士通コンコードジャズフェスティバルなどの興行、野々市のビッグ・アップル・プロジェクトなど、あくまでも音楽を優先し、リーズナブルなチャージと、きめ細やかなサポートで、長年この店を支えてきた井澤大太、細井寿彦の両氏をはじめ、スタッフ全員に感謝の意を表明したいと思う。

by makotogotoh | 2018-12-29 04:11
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