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2021.11.05 Akiko Toyama Trio@江古田そるとぴーなつ

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 トリオ結成14年目で初のスタンダード集を出した外山トリオ。レコ発ライヴから3ヶ月ぶり、今年最後のそるぴ出演である。この日は2006年に作った初期のオリジナル「1111」でスタート。この曲はベースとのデュオ・アルバムに収録。このアルバムは廃盤、オークションに出ると高値取引されるという。A(12)-B(16)の28小節、Bはヴァンプ。いずれトリオで再録したいという。2曲目「はじまりの秋」はピアノの恩師が還暦を機に人生を再出発させることが契機となって書かれたバラード。今年1月、ヴォーカルの勝部まきが外山のメロディに詞をつけて歌った。ベースを受けたピアノのソロ。コーラスを重ねる毎に盛り上がり、サビからラスト・テーマ。3曲目の「バトー・ムーシュ」はセーヌ川を流れる遊覧船をイメージして書かれた。ヤマハ音楽院在籍時にフランス国立放送管弦楽団と共演のため渡仏した外山。その時は乗るチャンスがなかった。セーヌ川の激流というよりジェットコースターのような7拍子で小節縦線を越えるフレーズが印象的。「ヒアズ・トゥ・ライフ」はシャーリー・ホーンやジョー・ウィリアムスが歌い、スタンダードの仲間入りを果たした1曲。「強い力をもった楽曲は、自分も強くならないと弾けない」という外山。人生の年輪と情感を感じさせるバラード。
 後半のセットは既発アルバムの紹介を経て、2018年発表の2枚組のオリジナルから。最初と最後のテーマのみゆったりテンポだが、ソロでアップテンポ。さらにサビはラテンという構成。毎回選曲に悩むという外山は、久しぶりにこの曲を取り上げた。「Ambition」は、故郷札幌の時計台の2階にある演舞場で初めて演奏した時の思い出がモチーフ。ピアノ・ソロでの息の長いフレーズが秋葉のビートと調和。ラスト・テーマに戻って拍手は入らず、エンディングも解決せず。高校1年の時、一度は音楽と訣別した外山が大学卒業後、ジャズと出会う契機となったのがチック・コリアの『ザ・トリオ~ライヴ・フロム・ザ・カントリー・クラブ』。新宿にあったCDショップの試聴機で聴いてジャズに開眼。「So in Love」のイントロは3人によるフリー演奏。ラスト・テーマに戻る前に秋葉のブラシもフィーチャー。ラストはメンバーがブースに入って録音するようになった最初のアルバム『Tres Trick』からの2曲。ラスト・テーマ直前、秋葉のパワフルな・ソロをフィーチャー。ここで少し早いが今年を振り返ってアンコールはスタンダード集のタイトルになった「Love Letters」で無事終了。

外山安樹子(p) 関口宗之(b) 秋葉正樹(ds)
1st set:
1.1111 (Akiko Toyama)
2.はじまりの秋 (Akiko Toyama)
3.Bateaux-Mouche (Akiko Toyama)
4.Here's to Life (Artie Butler-Phyllis Molinary)
5.Moonlight Serenade (Glenn Miller)
2nd set:
6.The Time Begins to Walk (Akiko Toyama)
7.Ambition (Akiko Toyama)
8.So In Love (Cole Porter)
9.Warm Snow (Akiko Toyama)
10.Tres Trick (Akiko Toyama)
Encore:
11.Love Letters (Victor Young)

by makotogotoh | 2021-11-06 04:11 | 外山安樹子
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