21世紀の現在でも、“20世紀のポピュラー音楽界を象徴する歌手”として真っ先にあげられるのは“The Voice”と呼ばれたフランク・シナトラ(1915~98)だ。ジャズやアメリカのスタンダード・ソングに関する知識を深めたいなら、この大歌手の偉業を避けては通れない。この本は、長年シナトラを追い続け、彼が残したアルバムや彼が出演した映画を、愛聴&鑑賞してきた三具保夫氏が、1998年10月に刊行された『ジャズ批評97号』(フランク・シナトラ大全集)に掲載された内容に、加筆・修正を加え、《シナトラがどういう歌手か?》という探究心をもった初心者・入門者にもわかりやすくまとめたもの。最近のジャズ本は「単なるレア盤自慢のカタログ」や、1度読めば不要のくだらん随想本も多いが、辞書代わりに繰り返し使える資料性の高い良著も(数は少ないが)ある。この本は後者だ。ネットでこれだけの情報を体系的に得ることは絶対に無理である。
ハリー・ジェームス楽団、トミー・ドーシー楽団のバンド歌手時代を経て独立、以後コロンビア、キャピトル、リプリーズと、レコード会社を渡り歩きながら、彼の音楽がどのように変化していったのかを、膨大な資料に裏づけられた説得力のある筆致でテンポよく記している。一気に読むよりも、実際にシナトラの歌を聴きながら該当箇所を読み返せば、より深い理解が得られる。ぜひ手元においておきたい1冊である。巻末には筆者推薦のベイシック・コレクションがリストアップされている。その紹介文から。《シナトラの世界は実に奥が深い。これからシナトラとつき合っていこうと決心されたら、ベスト盤でお茶を濁すのはやめましょう。》 つき合いを決心する。努力せずに得られる情報や感動は、所詮その程度のモノである。 駒草出版 ISBN978-4-903186-35-6
by makotogotoh
| 2007-08-30 00:07
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