12月にミューザックからリリースされるストリーヴィルの5枚(10インチ盤のCD化)について調べている。1988年発行のBarry Kernfeld編『The New Grove Dictionary of Jazz』には、Mark Gardner(イギリスの評論家)が次のように書いている。
■Storyville 1:ニューオリンズの歓楽街(以下略) 2:1951年にジョージ・ウェイン(George Wein)がボストンで設立したレーベル。その前年にウェインがボストンで開店した同名のクラブ名にちなんで命名された。 3:1950年代初頭にデンマークのコペンハーゲンで設立されたレーベル。設立後まもなくしてSONETに買収(以下略) もちろん、ここでいうStoryvilleとは、上記(2)である。続きを見よう。 《カタログはクラブでのライヴ録音とスタジオ録音の両方があり、リー・コニッツ、サージ・チャロフ、秋吉敏子、ルビー・ブラフ、ヴィック・ディッケンソン、エリス・ラーキンス、シドニー・ベシェ、ジョニー・ウィンドハースト、ジョー・ニューマン、ズート・シムズ、ジョー・ジョーンズらのアルバムがある。歌手ではリー・ワイリーやジャッキー・ケイン、ロイ・クラールが録音を残している。 このレーベルは他社の音源も借りて発売、そのなかにはバック・クレイトンがパリで録音した一連のセッションも含まれている。レーベルとしての活動がもっとも活発だったのは1953年から1955年までの間で、この後ウェインはニューポート・ジャズ祭とのかかわりが増えたため、そちらに時間を割くようになった。 1950年代の終わりにはレーベルとしての活動を停止。カタログの一部はイギリスやフランスでも発売され、日本でも数枚のアルバムが発売された。しかし(以下略)》Mark Gardner氏の最後の一言が笑わせる。But There has been no comprehensive reissue program。 さて本題。このレーベルに関する謎は2つある。 1)300番台(10インチ)はLP301からLP323までの全23枚と思われる。が、このうちの2枚(LP315、LP321)が誰のなんというアルバムなのか、収録曲は何なのか、分からない。ご存知の方がいれば、ぜひご教示を。 2)900番台(12インチ)はSTLP901からSTLP920までの全20枚と思われる。STLP919のみよく分からない。70年代の前半、あるジャズ雑誌に掲載されたレコード会社の広告には、『Rudy Vallee/Rudy Vallee's Drinking Songs』とある。上記10インチ盤のどれかが、これと内容が重複する可能性は否定できない。 ルディ・ヴァリー(1901~86)はヴァーモント生まれ、1928年に自分のバンド《コネチカット・ヤンキーズ》を結成、ビング・クロスビーが以前に登場した1930年代に人気を博した歌手&バンドリーダーである。なぜこういう歌手の録音がストリーヴィルに残されたのか。 ヴァリーがどこかのレーベルに録音した音源の再発であったとしても、50年代後半という時代になぜ再発されたのか、謎は深まるばかりなのだ。
by makotogotoh
| 2007-11-26 12:49
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