世界初一般リリース。珍しいコピーである。ジャズ系CDが再発されたり、未発表だった音源が発売される時に、「世界初登場」「日本初登場」というコピーはよく見る。だがこの表現は妙に新鮮だ。「世界初」はわかるが「一般リリース」とわざわざ記してあるのはなぜか? それは最初の発売が通常の流通経路に乗らず、不特定多数の人が購入できなかった、という意味だ。おそらく知人や友人、関係者に配布したものだろう。だからレーベルもGiftなのか?番号の711は彼女の誕生日(7月11日)か住所の番地か? フロ・ベネットは、生年不詳のコロラド州デンヴァー出身。現在もパームスプリングスで健在という。大学卒業後LAでクラブ・シンガー&デモ・シンガーとして活躍した、知る人ぞ知る歌手である。デモ・シンガーを知らない人も多いと思う。かつて作曲家は、新曲を売り込むためにプロの歌手に吹き込んでもらっていたのだ。デモ・シンガーに求められる条件とは、歌唱力があって初見に強いこと。つまり腕利きのスタジオ系シンガーである。フロはその後、映画業界にも進出、覆面歌手としても歌っているようだ。無名の歌手なのだが、いわゆる新人とは違う安定感があって実にうまい。説得力がある。 このアルバムが1962年、彼女が発表した唯一のアルバム。。伴奏もサックス、ギター+ピアノ・トリオのコンボ。英文で書くとFlo Bennett(vo)John Anderson(tp) Plas Johnson(sax,fl) Jewel Grant(bs,b-cl) Irving Ashby(g) Ernie Freeman(p) Buddy Woodson(b) Sharkey Hall(perc)となる。 この歌手、ジャジーで玄人肌。さらに日本人好みのさわやかさも持っていて非常によいです。「今でも高級クラブで歌っている」というのも納得。ちゃんとお金の取れる(聴いた人が満足できる)芸になっているのだ。ビル・リード探偵のいい仕事 『ヒア・カムズ・キャロル・クレヴェリング+2 』に続くヒットになるのは必至。12月19日発売。XQAM-1026 《美女と時計ジャケにハズレ無し!》という人もいるがこれはアタリ。
by makotogotoh
| 2007-12-12 12:36
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