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Herbie Steward/One Morning In May

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 2008年1月21日に発売されるマシュマロレコードの新譜のひとつ。ジャケットの写真とデザインが中身の音楽を伝えている。
 1947年にウディ・ハーマンが結成したセカンド・ハードは、「The Four Brothers Band」と呼ばれた。同年12月、コロンビアに録音した「Four Brothers」(作曲はJimmy Giuffre)がヒットし、3テナー+バリトンの4本からなるサックス・セクションのアンサンブルが人気を博したからだ。
 この時のサックス・セクションは、スタン・ゲッツ(ts)、ズート・シムズ(ts)、サージ・チャロフ(bs)、そしてハービー・スチュワード(ts)、という顔ぶれ。ゲッツ、ズート、チャロフの3人は有名だが、残りのスチュワードは名前すら知らないという人は少なくない。つまりハービー・スチュワードはこのフォー・ブラザーズの生き証人なのだが、ハーマン楽団の在籍期間は非常に短かかった。以下ライナーから。
《上不:なぜウディ・ハーマンのバンドに半年もいなかったのですか?
ハービー:私にあまりソロを取らせなかったからだ。》
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 スチュワードはこの他、アーティ・ショウ、アルヴィノ・レイ、トミー・ドーシー、エリオット・ローレンス、ハリー・ジェームスなどでも活躍、スタジオの仕事にも従事したが、現在までに残されたリーダー作は非常に少ない。再びライナーから。
《上不:ジャズ史上、もっとも過小評価されているミュージシャンは誰だと思いますか?
ハービー:それは私だ。》

 このアルバムは、ハービーが1992年5月19日、3度目の来日を果たした際に横浜で録音された。録音場所の関内ホールはコンサート会場として知られるが、このアルバムはライヴ録音ではなく、ホールをスタジオ代わりに使った録音のようだ。この来日時の録音は、すでに以下の3枚が出ている。
1992年5月21日 サー・チャールズ・トンプソンとの共演作『Magical L-I-V-E』(MYCJ-30115)、
1992年5月22日 西条孝之介との共演作『Saijoh's Serenade』(MYCJ-30083) 
1992年5月23日 本作と同じメンバーで山形でのライヴ盤『Herbie's Here』(MYCJ-30069)
 つまりこのアルバムで4枚目となる。プロデューサー上不氏のスチュワードへの並々ならぬ入れ込みようがうかがえる。

 収録された7曲のうちテナーが5曲、クラリネットが2曲。なかでもクラリネットを吹いた「Charade」と「Memoの2曲が秀逸だ。歴史的巨人が数多く存在するテナー・サックスの豪快さ、スピード感より、クラリネットという楽器がもつ繊細さ、慎ましさ、上品さが、このスチュワードにはより合っているように思う。そして3月に来日が予定されているディノビも、珠玉のタッチでキビキビとした伴奏を聞かせる。
 なお、このスチュワードとは今は連絡が取れず音信不通だそうだ。
 LP、CDともに999枚限定。MMEX-118
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by makotogotoh | 2008-01-16 12:34 | Marshmallow
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