日本のブログには、プロフェッショナルな情報源が数えるほどしかない(池田信夫)

ITプロ「なぜウェブは資本主義を超えるのか」
池田信夫(上武大学大学院経営管理研究科教授)へのインタビュー
「自律分散社会での避けられないコスト」

《(前略)これまでのように印刷機や放送局が希少な世界では、そういう設備を権力の介入から守る「表現の自由」が重要でしたが、今ブログなどで問題になっているのは、だれもが「印刷機」(パソコン)を持って情報を発信できるため,自由が過剰になっていることです。
 ここで希少になっているのも、個人の時間(関心)です。あまりにも質の低い情報が氾濫し、しかも他人を罵倒するメッセージが多いので、2ちゃんねるやブログは読まれなくなる。(中略)
 Wikipediaの創設者ジミー・ウェールズと話した際,彼は日本では匿名IPでの書き込みが多いと言っていました。Wikipediaでは匿名での書き込みも許されていますが、それは本来例外的なものです。しかし日本では匿名IPが圧倒的に多い。なぜ多いのか、ウェールズ氏は2ちゃんねるの影響だろうと言っていました。日本のネットユーザーは2ちゃんねるに慣れているせいで、他人を誹謗中傷する心理的コストが非常に低い。 匿名の誹謗中傷が多いことの弊害は、非難されることに嫌気がさして専門家が書かなくなることです。その結果,日本のブログには,プロフェッショナルな情報源が数えるほどしかない。(後略)》

匿名ブログは責任の所在が不明だ。まず書く側の多くに「俺プロじゃないから」「誰かにオカネもらって書いているんじゃないから」という意識がある。読む側の多くにも「タダだから別にいいか」みたいな意識がある。プロと名乗る専門家は、それでメシを食っている。だからタダで書く訳にはいかない。よってクオリティの低い情報が氾濫するというわけである。

インターネットが爆発的に普及したのは、それにつながる環境さえあれば、すべてタダというところにある。その結果、便利になった反面、無駄な情報の洪水にもさらされるようになった。

今でも雑誌というモノを手にすることに対価を払う、というだけで「信頼できない」筋から「信頼できない」情報を得ている人もいる。それなりの対価を払ってでも、「信頼できる」筋から、「有益な」情報を得たい」という人には、まだまだ少数派なのだろう。
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# by makotogotoh | 2007-09-18 12:36

ビヴァリー・ケニーのシングル盤&未発表音源。

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昨日の続き。以前、復刻できないかと思って、詳しく調べたことがある。マスターテープの所在すら怪しいルーストに未発表音源はないだろうが、デッカにはレア&未発表音源がまだある。
まず1958年5月19日発売のシングル盤。
番号は30614。曲名の前に書いてある6桁の数字は母盤番号。
104419 The Magic Touch(1958年2月19日録音)
104418 Your Love Is My Love(同上)
以下は未発表音源。
103877 Brooklyn Love Song(1957年12月2日録音)※
193876 Sing A Rainbow(同上)※
193868 Time Was/It's A Peaceful in The Country(同上)※
104420 What'll I Do Without You(1958年2月19日録音)
103875 What's It Like In Paris(1957年12月2日録音)※
105786 You Couldn't Be Cuter(1958年10月14日録音)★
※はWEA SPAIN (Fresh Sound Records)から254796で初登場。
★はポルトガル盤(Angel A-1201)で初登場。
写真の
103874 You're My Boy(1957年12月2日録音)は
『Playboys』(DL8743)収録の同曲と同じマスター番号なので、未発表ではないと思われる。

 こうした未発表音源を、世界に先駆け日本で発売するとなると、アルバムそのままの通常復刻より、コストも手間もかかるそうだ。また諸般の事情で、発売の許諾が得られない場合もある。
 手間やコストをかけたらかけただけ、売り上げが2倍、3倍になるなら、日本のレコード会社も喜んで復刻するはずだ。だが全音楽人口に占めるジャズ・ファンの割合、こういう未発表を求めるマニアの割合を考えると、未発表が1曲、2曲入ったからといって売り上げ枚数にはまったく影響しない。こうした曲単位の未発表を求める日本のマニアはほんのわずかなのだ。
 だから世界のマニアをマーケットとするアメリカのMosaicやRhino、ドイツのBear Familyが未発表を含む復刻を得意とするのは、そのためである。
 思えば70年代、過去のジャズ音源にあまり目を向けられていなかった頃、日本のジャズ界は、どの国よりも復刻に力を入れていた。その結果、長年廃盤だったアルバムが復刻されたり、SP盤だけで入手可能だった音源がLP化されたりした。
 こうしたジャズにおける復刻の重要性を訴え、復刻のあるべき姿を決めたのは、当時のジャズ評論家だ。
 SSJからビヴァリー・ケニーのレア音源が出ている今、上記未発表を含むケニーの全音源(RoostとDecca)を集大成し、貴重な写真などをつければ、日本でも支持されると思うのだが。
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# by makotogotoh | 2007-09-17 08:19

探偵ビル・リード、相変わらず「いい仕事」しています。

a0107397_11155193.jpg薄命の白人美人歌手ビヴァリー・ケニーの激レア音源がまたまた登場。ケニーは、世界的な評価や一般的な知名度とは別に、日本のマニア(数千人?)の間で、たぶん有名歌手よりもひそかに愛聴されてきた、謎の多い歌手だ。その筋?では、○流女優のティナ・ルイーズと並ぶ、人気白人美人ジャズ・シンガー(ちょっと長いな)といっても過言ではない。1932年1月29日生まれで、1960年4月13日に自殺。日本ではなぜか「ホテル火災が原因で死亡」と書かれてきた。その詳細は『二人でお茶を+1(原題:Snuggled On Your Shoulder)』(XQAM-1003)のライナーに詳しい。
 さてこのアルバムは、スタン・ケントン楽団で活躍したベーシストのエディ・サフランスキー(1918-74)が、シザック(Sesac)社がラジオ局配布用に制作したレコード(トランスクリプション)のために録音した音源から、ケニーの歌を含むトラックのみ(全10)を抽出したものである。
 これらの録音時期をリードは1952年頃と推定している。だが実際に聴いた筆者の印象では、もう少し後のような気がする。1957年から59年、さらにいえば1958年頃ではないか。
 ミディアム・テンポで軽快にスイング・チューンから、一昔前のキャバレーでよく演奏されていた昭和歌謡を思わせるラテン・ナンバー、ロッカバラード、エキゾチックなリズムものまで、内容はバラエティに富む。放送用音源のため、演奏時間はどれも3分弱。それでも曲のアレンジがモダンなので飽きさせない。ケニーのスタイルはすでに完成していて、いずれも彼女らしさがよく出ている。とても20歳頃の歌とは思えない。とりわけ(3)(4)(6)のバラードがいい。ちょっと舌足らずで、その語り口からみえ隠れする少女のあどげなさ。これぞビヴァリーの魅力である。2007年10月3日発売。XAQM-1022。

PS:未確認情報だが、独BearFamilyがSesac社のトランスクリプション原盤権を獲得したという。いつになるかわからないが、CD化ではなくダウンロード販売になる模様。

PPS:リード探偵の最新情報によれば、1953年録音だそうだ。(2007年9月28日付記)
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# by makotogotoh | 2007-09-16 11:18